エアロファシリティー株式会社

コラム

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基礎知識

2019.12.17

「繰り返し」の離着陸を前提とする場合のヘリポートの構造は?


なぜ繰り返しの離着陸を前提とする着陸帯を「緊急離着陸場」の構造で造ってはいけないのかを説明します。

ヘリコプターの着陸に耐える強度を持ったコンクリート部分を躯体コンクリートと呼び、この躯体コンクリートの強度を将来的に保証するのが防水層です。しっかり防水されていれば躯体コンクリートの劣化は非常に遅いのです。この大切な防水層を傷めないように打設するのが保護コンクリートで、紫外線や風雨などから守ります。 緊急離着陸場はコストを抑えるため、この保護コンクリートが薄く施工されます。そして、「運輸省」と異なり、「建設省」は保護コンクリートの強度まではチェックしません。

さて、この緊急離着陸場の構造で造られた「着陸帯」にヘリコプターが繰り返し着陸したらこの保護コンクリートはどうなるでしょう。割れてしまいます。「パンチングシャー」と呼ばれる衝撃荷重に保護コンクリートは耐えられないのです。「割れる」と言っても表面からは見えないこともしばしばで、この割れた保護コンクリートが防水層を傷めることがあるのです。表面的には目立たないが、保護コンクリート内に雨水が浸透し、その雨水が破れた防水層の中に浸み込んでいく。年々劣化が進み20年後、30年後、あるいは40年後に大災害に繋がるかもしれません。

もし緊急離着陸場の構造で造った「着陸帯」にヘリコプターが繰り返し離着陸することがある場合、管理者は着陸の都度、虫眼鏡を持って保護コンクリート表面のクラックをチェックし、定期的に保護コンクリートを剥いで防水層をチェックするべきでしょう。

 

「新・ヘリポートの造り方」

 

注:ヘリポートに関わる行政の動きをわかりやすく説明することと、縦割り行政に対する問題意識から、敢えて「運輸省」、「建設省」と旧名称を使用しています。現在の部署に言い換えた場合、「運輸省」は「国土交通省航空局」、「建設省」は「国土交通省住宅局」となります。

緊急離着陸場とヘリポートは構造が違います。

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