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基礎知識

空飛ぶクルマと屋上Vポート

2022.05.19

緊急離着陸場「H」マークのVポート(バーティポート)転用は難しい


「H マーク」「R マーク」を「Vポート(バーティポート)」に変更できるという錯覚
我が国の高層ビルには緊急離着陸場あるいは緊急救助用スペースと呼ばれる消防のための施設があります。
緊急離着陸場は通称「H マーク」、緊急救助用スペースは「R マーク」と呼ばれています。万一のビル火災の時に、この「H マーク」「R マーク」を利用して消火活動や救助活動を行うための施設であり「ヘリポート」ではありません。ヘリポートではないのでヘリコプターは離着陸できないのです。東京には「H マーク」は10か所弱、「R マーク」は700か所近くあります。
「ヘリコプターは離着陸できなくても、『空飛ぶクルマ(VTOL)』なら降りられるんじゃないですか?」との質問をよく受けます。その都度「無理でしょうね」と答えています。床面の強度に関する問題が一番の理由ですがそれだけではありません。「H マーク」は万一の火事の場合を想定して作られる施設ですから反復した離発着は想定していません。専門的には「繰り返しの衝撃荷重を想定していない」ということになります。「R マーク」はそもそもヘリコプターがホバリングするための施設であり着陸は想定していないのです。
「ヘリコプターに比べるとVTOL ははるかに軽量のモノが多い。軽いVTOL なら床面強度は持つのではないですか?」との質問も多く寄せられています。「はい、強度的に持つモノはいくつかありますね。それでも実際にV ポートとしての利用は難しいでしょうね」と私は答えます。なぜでしょう?大きなホテルをイメージしてみてください。宿泊者やレストランを利用される方々のためにホテルには大きく美しいエントランスがあります。タクシーで来られる方のための車寄せがあり、車で来られた方専用のエントランスがあります。これらお客様を出迎えるための出入口だけでも数か所あります。それ以外に従業員専用の出入口や納入業者専用の搬出入口があります。それぞれの出入口にはそれぞれの目的があるわけです。それらはもちろん設計の段階からどのような利用をするのかを考えて作られています。

 

「Vポート」もお客様を迎え入れるエントランスと同じ役割を持つ

 

 「H マーク」は「V ポート」として使えるんじゃないですか?との質問に対して私は「ホテルにタクシーで来られたお客様を従業員専用出入口から入れるようなものですね」と答えます。「Hマーク」は、顧客をビル内に招き入れることまで配慮して設計されていないのです。「我が家には玄関がないから」と言って勝手口からお客様を招き入れるようなものなのです。ですから「Hマーク」を「V ポート」として使用することは簡単な改修で済むような問題ではありません。
お客様に利用していただく施設は設計の段階から十分に吟味しておくことが必要なのです。

 

緊急離着陸場「Hマーク」は従業員専用口のようなもの

 

 

(「Vポート」Vertiport の略称、その他の呼称はバーティポート、バーチポート、ヴァーティポート、ヴァーチポートなど)

書籍案内「空飛ぶクルマと屋上 Vポート」

 

緊急離着陸場とVポート(バーティポート)は構造が違います。

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