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基礎知識

空飛ぶクルマと屋上Vポート

2021.11.24

空飛ぶクルマと 屋上 Vポート「空飛ぶクルマ」 設置の流れと留意点


ヘリポートや「Vポート」は基本設計に盛り込む建築物ができるまでの流れ
建物が建てられるとき、設計から工事完了までの一般的な手順を示したのが下のフロー図です。
大規模ビルの建設において最初はデベロッパーが活躍します。どのようなコンセプトのどんなビルを建てるのか、その概要を検討します。「地上げ」と呼ばれる土地買い取りもデベロッパーの仕事の一部です。地方自治体や公社などの公的デベロッパーも民間デベロッパーと一緒に建設計画に参画することがあります。概要がまとまり、用地取得が完了したら基本設計に入ります。これは設計会社の仕事です。屋上にヘリポートや「Vポート」を造るのであれば、基本設計の時点で盛り込んでおくべきです。
基本設計が終わったら詳細な実施設計になります。やはり設計会社の仕事ですが、基本設計を行った会社が必ずしも実施設計も担当するということではありません。また、もし基本設計時にヘリポートや「Vポート」を設計図に入れていなくても、実施設計時に盛り込むこともできないことではありません。
実施設計が整ったら設計図書一式を役所にチェックしてもらいます。建築確認申請といいます。役所はその設計が建築基準法に適合し、きちんとできているのかをチェックします。構造計算のチェックもここで行うことになります。入念なチェックを行い、問題がなければ「確認済証」を交付します。この確認済証が届くまで、着工することはできません。
設計が終わると工事はゼネコンが行うことになります。設計図通りに建築物を造ることがゼネコンの仕事です。工事が始まると構造に関わる設計の変更は基本的にできません。

 

開発からビル建設の一連の流れ

 

 工事が完了したら設計図書の通りに工事が行われたのか役所に検査してもらうことになります。問題がなければ「検査済証」が交付されます。検査済証が交付されていない物件は使用できません。検査済証を受け取って初めて供用開始となるわけです。
設計が終わった段階で工事着手前に「確認申請」、工事が終わって使用開始前に「検査申請」があり、それぞれ役所がチェックした後「確認済証」「検査済証」が交付されるのです。

 

計画変更は難しい
話を大規模ビルと「Vポート」に戻しますと、まず計画段階から「屋上には『Vポート』を設置する」ことを前提に設計を始めなければなりません。工事が始まってしまうと計画変更は極めて難しいものになってしまいます。
姉歯事件が起こる数年前のことです。私の元に「このビルの屋上にヘリポートを設置したいのですができるでしょうか?」との問い合わせが3件ありました。一つは東京都港区の超大型ビル(Ⓐ)。もう一つは東京都中央区の外資系ホテル(Ⓑ)。そしてもう一つは日本のスーパーゼネコンからの問い合わせを受けたドバイの超超高層ビル(Ⓒ)です。Ⓐは私が相談を受けたときにはすでに基礎工事が始まっていました。それでも姉歯事件の起こる前でしたから恐らくあの時点で設計を変更することは可能だったのでしょう。屋上にヘリポートを造るか造らないか、造るとしたらどのような設計変更が必要か、私は何度も施主から呼ばれ説明をしました。2週間後「やっぱり屋上ヘリポートは断念します」との連絡を受けました。工事をストップする工期の余裕がない、とのことでした。Ⓑから相談を受けたときは確認申請を提出する直前でした。私は設計図を眺め「このままでは無理です。屋上部の設計を変更する必要があります」と答えました。おそらくあの時に設計を変更して確認申請していれば問題なく確認済証は交付され、今ごろは屋上ヘリポートとして活用されていたことでしょう。ところが設計会社は「やっぱり屋上の設計をやり直すのは難しい」とカネなのか納期の問題だかで、これも設計変更がかないませんでした。Ⓒはドバイの超超高層ビルです。日本のルールとは違います。私が相談されたときにはすでにそのビルは8階を建築中でした。「無理でしょう? 確認申請後でしょ?」という私の問いに対して日本の大手ゼネコンの担当者は「いえ、むこうは大丈夫なのです。最終的に何階建てになるのかすらまだ決まってないのですから」とビックリするような返答でした。屋上にヘリポートができたのかできなかったのかは知りません。詳細は申し上げられませんが、その日本のゼネコンは途中で手を引いたそうです。何かトラブルがあったのでしょう。
3例とも計画段階で「屋上にはヘリポートを造る」と決定し、「屋上にヘリポートができないだろうか?」と実施設計以前に当社に相談してくれていれば問題なかったのでしょうが、あまりにも遅すぎました。姉歯問題以前ですら実施設計後の設計変更は難しかったのです。姉歯問題以降、最近ではもっと難しくなっているということです。

 

屋上からの動線を考えた設計
東京都内で唯一、民間のお客様を乗せて離着陸できるヘリポートが港区のアークヒルズにあります。このアークヒルズ屋上ヘリポートに関して少しお話ししましょう。

 

ヘリポートフロアまで会談で上がるのは大変(Google Earthより)

 

アークヒルズの屋上ヘリポートは、元々そこに本社があったテレビ朝日の専用ヘリポートでした。航空法上の「非公共用ヘリポート」というカテゴリーです。
2003年の六本木ヒルズの開業に合わせてテレビ朝日は本社機能をアークヒルズから六本木ヒルズへと移しました。アークヒルズにはテレビ朝日が使うことがなくなった屋上ヘリポートが残りましたが、これを森ビルが地位継承し、同時に利用者や利用目的を大幅に変更しました。そうすることによって都内で、いや日本で唯一の商業用屋上ヘリポートができたのでした。
ところが一般客にとって、非常に利用しづらい設計になっていたのです。もともと一般客の利用など想定していなかったのでしかたがないのですが、エレベータが着くのはヘリポートフロアよりもずっと下、お客様は100段もの階段を上らなければならなかったのです。屋上フロアに出た後もパイプをまたぎ迷路のような細い通路を歩いてやっとヘリポートへ上がる階段です。これではVIPが多い、ヘリコプターに乗るお客様からはクレームが来ます。
結局、アークヒルズは一般客を受け入れるために最上階を大改造することにしました。待合室を造り、最上階から屋上フロアへ、ヘリポート客専用の直通エレベータを付けたのです。莫大な費用がかかりました。
屋上にヘリポートや「Vポート」を設置するのでしたら設計当初からお客様の利用動線を考慮し、準備をしなければなりません。ビル建設において「最後に作るものだ、なんとかなるだろう」などとたかをくくっていたのでは結局ヘリポートも「Vポート」も造ることはできません。

 

(「Vポート」Vertiport の略称、その他の呼称はバーティポート、ヴァーティポートなど)

書籍案内「空飛ぶクルマと屋上 Vポート」

 

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