エアロファシリティー株式会社

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基礎知識

2020.11.13

「いまさら聞けないフライトシミュレータの豆知識」その①


皆様は「フライトシミュレータ」と聞いて何をイメージされるでしょうか?

思い浮かべる身近なものは、空港などに置いてあるシミュレータや、パソコンなどで楽しめるシミュレータゲームでしょうか。

プロが使用するシミュレータは、主に航空従事者(操縦士・整備士)が使用することを目的としています。

本コラムでは以下の4つのシミュレータ・システムについて説明したいと思います。

・FFS(フル・フライト・シミュレータ)

・FTD(フライト・トレーニング・デバイス)

・ADT(アビオニクス・デスクトップ・トレーナー)

・統合型模擬操縦訓練システム(呉越同舟プロジェクト)

 

・FFS(フル・フライト・シミュレータ)

「シミュレータ=模擬飛行装置」は国土交通省が定める「模擬飛行装置等認定要領」にて定義されています。

具体的には、「ビジュアル装置及びモーション装置を有する航空機乗組員の訓練、試験、審査等に適する装置であって、特定の型式の航空機の操縦室を模擬したもの」となります。

簡単に言うと飛行中のビジュアルや振動、音響を精密に再現することができ、例えば暴風雨時、エンジン停止状態での操縦など、様々な状況下で訓練を実施することができるいわばシミュレータの中で最上位の飛行訓練装置です。

FFSは各種装置の仕様(ビジュアル・モーション・音響)によってレベルA,B,C,Dに区分されており、200ページにも及ぶ細則に従った厳正な審査によって、日本の航空局より認定を受けます。弊社が代理店のREISER社が製造するFFSはEASA(欧州航空安全機関)のレベルD認定を受けています。

教官による模擬状況の操作

このように高度な操縦訓練が可能であるため、操縦士はFFSによる訓練時間を、実機で操縦した時に記録する飛行時間の全部または一部に算入することができます。(下表参照)

用途 資格・審査等 飛行経験に算入できる模擬飛行時間
実地試験 自家用操縦士(回) 回転翼 40 時間のうち、模擬飛行時間 5 時間
事業用操縦士(回) 回転翼 150 時間のうち、模擬飛行時間 10 時間

10 時間以上の計器飛行のうち、模擬飛行時間 5 時間

計器飛行証明 計器飛行等の練習 40時間以上のうち、 模擬飛行装置の時間:30 時間 / 飛行訓練装置の時間:20 時間
最近の飛行経験 計器飛行 180 日の間に 6 時間以上は、すべて模擬飛行装置等による時間で可能
離陸及び着陸 90 日の間に 3 回以上(内 1 回は夜間)は、 すべて模擬飛行装置による回数で可能
特定操縦技能審査 実技審査全部 回転翼航空機の飛行訓練装置(ビジュアル装置有り)レベル 1 以上で可能

日本ではまだ認められていないのですが、一部海外ではタイプレーティング取得時(新しく操縦を始める型式の機体)において、シミュレータ訓練時間を飛行時間に算入できます。

このように実機の状況や天候に左右されないこともあって、FFSを用いた訓練が近年注目を浴びています。

例えば、世界的なヘリコプター製造販売会社のエアバス社は世界各地に22基のFFSを配備し、年間27,000時間稼働させているそうです。日本国内はエアバス社神戸事業所にH135用FFSを配備し、アジア地区の訓練サービス拠点となっています。

REISER社がルフトハンザ航空へ納入したFFS

エアロファシリティー はドイツに本拠地を置くフライトシミュレータ製造業会社 REISER社の正規販売代理店です。

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