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基礎知識

2025.10.08

緊急離着陸場について(Part5): 有事に備えて平時に行う安全対策等


この章では”有事に備えて平時に行う安全対策等”について要約して記載します。

 

ビル火災や大規模災害、緊急の傷病者搬送等に備えるためには、平時からヘリコプターの離着陸訓練を実施して安全運航の確保を図っておく必要があります。この場合、捜索または救助のための特例は適用されないため、運航者側で国土交通省地方航空局(空港事務所)に航空法第79条但し書き規程による飛行場外離着陸申請を実施し許可を受けなければなりません。

 

緊急離着陸場と飛行場外離着陸場の基準の差異は進入表面の勾配に違いがあります。緊急離着陸場の勾配基準は1/5以下であるのに対し飛行場外離着陸場では1/8以下ですので、訓練を実施するためには基準の厳しい側の飛行場外離着陸場に整合させる必要があります。また転移表面(離着陸帯両側のクリアランス)の勾配についても緊急離着陸場では1/1以下の基準であるのに対し飛行場外離着陸場では10mの幅まで1/2、それより外側は原則として1/1以下の勾配と示されています。

 

消防機関の航空隊などでは、これまでに実施した離着陸訓練において”飛行場外離着陸場申請がなかなか通らずに苦労した”という話を耳にします。中には申請を諦め訓練は実施できていないというケースも聞こえて来ます。

 

緊急離着陸場の離着陸帯の床面強度は使用予定機材の2.25倍以上と示されていますが、医療機関の屋上に設置された緊急離着陸場ではドクターヘリが日常的に離着陸するようになり、運用頻度(反復利用の増加)はこの基準が制定された当時とは大きく変わって来ています。

 

屋上の非公共用へリポートや飛行場外離着陸場の着陸帯(滑走路)設計強度が離着陸を予定するヘリコプターの最大離陸重量の3.25倍以上となったのもこうした背景が少なからず関係していると思料します。

 

屋上のコンクリート製離着陸施設(ヘリポート、飛行場外離着陸場、緊急離着陸場)は、竣工後3年目辺りから劣化が始まると言われています。定期的なメンテナンスが必須なのですが、その実態は必ずしも…という状況です。

(文:ファシリティー事業部 K. I.)

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