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コラム

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基礎知識

2019.10.07

「緊急離着陸場」は 「ヘリポート」ではない!


1988年5月、米・ロサンゼルスの超高層ビル「ファースト・インターステートバンクビル」で火災が発生しました。
このとき屋上に逃げた多くの人々をロサンゼルス市の消防ヘリコプターが救助しました。1974年に米国で製作され、大ヒットした映画『タワーリング・インフェルノ』を地で行くものでした。

この時の消防ヘリコプターの活躍を参考にして、我が国でも1990年、高層ビルの屋上に消防活動のための施設として「緊急離着陸場」の設置が始まり、急速に普及が進みました。

ここで改めて重要なことを確認しましょう。

1990年から我が国の高層ビルの屋上に設置されることになった「緊急離着陸場」はいわゆる「ヘリポート」ではないということです。

「ヘリポート」は、ヘリコプターが離着陸を繰り返しても十分な強度が確保されることや着陸帯の面積、飛行ルートなどを、設計の段階から「運輸省」がチェックし、安全に運航できることを確認した上で使用を許可するものです。

一方「緊急離着陸場」には「運輸省」は関わっていません。万一のビル火災の時の救助活動と消火活動のためだけに設置されることから、「建設省」の住宅局と総務省消防庁の指導で普及が進んだのです。

もちろん「緊急離着陸場」にも一定の基準がありますが、各地方自治体の消防署がそれぞれの地域で独自に基準を定めているため、全国統一の基準さえないのです。呼称も統一されておらず、「緊急離着陸場」があれば、「緊急離発着場」というところもあります。

これら「緊急離着陸場」の基準は、「運輸省」が「ヘリポート」のために設定した基準とは大きく異なっているのです。「ヘリポート」は離着陸を繰り返すことを前提に造られるのに対し、「緊急離着陸場」は万一のビル火災に備えるためだけの施設なのですから基準が異なるのは当然ですね。

「ファースト・インターステートバンクビル」火災(AP /アフロ)

実はヘリポートではなかった「緊急離着陸場」

「新・ヘリポートの造り方」

注:ヘリポートに関わる行政の動きをわかりやすく説明することと、縦割り行政に対する問題意識から、敢えて「運輸省」、「建設省」と旧名称を使用しています。
現在の部署に言い換えた場合、「運輸省」は「国土交通省航空局」、「建設省」は「国土交通省住宅局」となります。

緊急離着陸場とヘリポートは構造が違います。

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