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2026.06.24
「病院新聞」に代表取締役社長 木下幹巳のインタビュー記事が掲載されました
2026年6月18日発行の『病院新聞』(第2897号)「病院経営支援特集」にて、弊社代表取締役社長 木下幹巳のインタビュー記事が掲載されました。
本記事では、昨今相次いでいるドクターヘリの運休問題に触れ、日本の運航体制が抱える構造的な課題を指摘しています。その上で、命を支える航空医療インフラを社会として維持していくための事業一元化や、自衛隊と連携した操縦士・整備士の育成構想について提言しました。 また、災害時にも使える病院ヘリポート普及の重要性などについても述べています。
以下にインタビューの全文を掲載いたします。ぜひご一読ください。

以下インタビュー全文
病院経営支援特集 課題解決に向け医療DX化の推進を
インタビュー エアロファシリティー 木下幹巳社長
ドクターヘリの相次ぐ運休 命を支える航空医療インフラ 社会としてどう維持するか
「『ドクターヘリさえ飛んでいれば助かったのに……』という事案がいくつも生じている」――。ヘリポートの設計・施工などを手掛けるエアロファシリティー(東京都港区)の木下幹巳社長は危機感を露わにする。昨年来、ドクターヘリの運休が相次いでいるからだ。運休は、10都道府県でドクターヘリの運航を受託していた学校法人ヒラタ学園(大阪府堺市)が、運航に欠かせない航空整備士を確保できなかったことなどによるもの。しかし、木下社長は一部事業者の問題だけではなく、「十数社に及ぶ民間事業者に委ねるドクターヘリの運航体制に構造的な問題がある」と指摘する。将来的にドクターヘリ事業を一元化するとともに、操縦士と整備士の育成に当たっては自衛隊と連携することを提言。さらに「ヘリコプター業界の魅力を高めて操縦士や整備士を増やしていきたい」と語った。
ドクターヘリ事業の一元化を
日本のドクターヘリは2001年4月に本格導入が始まり、現在、全国で56機が運航されている。「導入のきっかけは1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災で、導入に当たって参考にしたのが、ドクターヘリの先進国と言われるスイスとドイツだが、運営主体は日本と異なる」(表参照)。

具体的には、ドイツとスイスの運営主体は統一管理されており、機体の仕様や医療装備などが共通化され、「事実上、国内の航空医療インフラが標準化されている」一方、日本では都道府県ごとに委託された民間運航会社12社が4機種・複数のヘリコプターを提供し、各会社毎に管理されている。
ここに構造的な問題があると指摘。「機体の確保、操縦士や整備士の訓練・教育が各社任せとなっていることがドクターヘリの相次ぐ運休につながった」と分析する。
ドクターヘリの運休の要因は、整備士および操縦士不足が挙げられ、運航事業者の厳しい運営状況も浮き彫りになったが、「ヒラタ学園の問題は以前から業界内では指摘されていた」と明かす。「私は“行き過ぎた平等”と言っているが、日本は安全を市場に委ねてしまった。安価な機体を購入し、安く請け負う事業者によって“ドクターヘリ事業に価格競争がそぐわない”という業界内のコンセンサスが破られた」と憤る。「運航事業者のうちヒラタ学園だけが個人オーナー企業で、救命に関わる経営者のモラルについても、行政の審査が必要だったのではないか」と指摘。他の運航事業者については「来年受注できるとわかっていれば別だが、常に余剰の社員を抱える余力はなく、いきなり依頼されても受けられない状況」だ。
こうした事態を受け、厚生労働省は3月31日、予備機が確保できない運航事業者に対しても、救急医療の関係者、関係自治体等と連携・調整の上、委託を行って差し支えない▽操縦士が整備士の業務について必要な研修を受けるなどして代行できれば整備士の搭乗を求めない―とする通知を都道府県に発出した。
この規制緩和について木下社長は「やむを得ない」としつつ、業界の構造的な問題の根本的な解決にはつながらないとみる。今後の対応策としては「航空医療インフラであるドクターヘリ事業を社会として維持していく視点で考え、公営化するなど、運営・運航主体を一元化する必要がある」と繰り返し訴えた。
自衛隊と連携して人材育成を
操縦士と整備士の育成に当たっては、自衛隊と連携して行う必要性を指摘。自衛隊は、ほかに訓練を行う施設がないと認めるときなどにそのノウハウや訓練施設を活用して、自衛隊員以外の者に対し教育訓練を行っている。既に警察や海上保安庁の職員に対する航空機の操縦訓練で実績がある。
木下社長はここに着目し、「ヘリコプターについて訓練を行う施設がないため、自衛隊に民間の操縦や整備の訓練を請け負ってもらえるのではないか」と期待を寄せる。
自衛隊と連携するメリットとしては「自衛隊が管理する訓練空域の活用」を挙げる。「現状の十数社が個別に行うよりも安全かつ効率的に訓練でき、騒音問題も最小限に抑えられる」と語った。
また「自衛隊員は概ね55歳でリタイアするので、彼らを上手にヘリコプター業界に引き入れたい」と話し、操縦士など人材の確保にもつなげたいとしている。同様な取り組みとして、自衛隊は民間力活用を推進し、操縦士などの育成に当たって民間企業に所属する自衛隊OBが指導に当たっている。「当社もそうした企業の1つとして自衛隊OBを受け入れており、今後は、自衛隊員だけでなく、民間人の操縦士や整備士の育成にも注力していきたいと語った。
業界全体の魅力アップを
ヘリコプター業界の魅力アップに向けては、情報発信の重要性を指摘。その例として2008年に放送されたテレビドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命』の影響力に触れ、「当時はヘリコプター業界を目指す者が増えた」と懐かしみ、インターネットやメディア等を通じて“命を支える航空医療インフラ”の意義を発信している。
将来的には訓練施設を
さらに将来的な構想としては、訓練施設の新設を提言する。「日本には充実した訓練施設がなく、屋上ヘリポートへの離着陸訓練などを実施することができない」と指摘。「医療関係者と患者の命を守ることを第一に、より充実した訓練を継続的に行える施設、例えば、伊豆大島に訓練施設を新設できれば」と語った。
病院にはヘリポートを
木下社長がエアロファシリティーを創業した背景には、ドクターヘリの導入の契機となった阪神・淡路大震災がある。「発災直後、上空には自衛隊などのヘリコプターが相当数集結していたが、ヘリで病院に搬送された負傷者はわずか1人。神戸ヘリポートの壊滅的な被害が、その一因だった」と語り、「この反省からドクターヘリの普及やDMATの設立に繋がり、私はヘリポートに特化した会社を起こすことになった」と振り返る。以来30年余り。「当社による病院屋上ヘリポートは140件超。救急・災害医療に貢献してこられたのではないか」と自負する。 ただ、「まだまだ足りない。例えば、能登半島地震では発災当初から陸路が寸断し、ヘリが救援のために降り立つ場所も、搬送先の病院ヘリポートも圧倒的に足りなかった」と分析し、「自然災害だけでなく、大事故やテロなどのマスギャザリング災害への備えも必要な病院にはヘリポートが必要」と強調。「災害拠点病院だけでなく、100床以上の病院には屋上にヘリポートを、それが難しければ、いざとなればヘリが降りられる緊急離着陸場を設置すべき」と訴える。 「費用面で簡単な話ではないとは思うが、助かる命が助からない状況をなくしていかなければならない」と言葉に力を込めて語った。
(病院新聞 第2897号 2026年6月18日発行)
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