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レポート

2025.07.07

ヘリコプターの安全運航に潜む見えないリスク  — ヘリポート上の磁界の乱れ —


ビル屋上に設置されている鉄筋コンクリート製の着陸帯は、その構造上、内部の鉄筋が磁気を帯びているケースが少なくありません。
実はこれは、ヘリコプターの安全運航に関わる、一般にはあまり知られていないものの決して見過ごせない問題の一つなのです。

 

この乱れた磁界はヘリコプターに搭載されている磁気コンパスやその他の航法機器に影響を及ぼし、正確な方位情報の取得を妨げる可能性があります。

特に、精密な位置情報が求められる離着陸時には、こうした影響が安全運航のリスクとなり得ます。

 

実際、ある病院のヘリポート上でヘリコプターの航法機器が故障する問題が繰り返し発生しており、現在も着陸場所を変えざるを得ない状況が続いています。

 


Google Earthより
着陸帯中央の磁界が乱れているため、端に着陸するヘリコプター

磁界調査で明らかになった実態

エアロファシリティーは全国の着陸帯の磁界調査を実施し、多くの場所で地磁気からの大きなズレを確認しています。

特にコンクリート床版を敷き並べた着陸帯では磁界の乱れが顕著で、真北から30度程度ずれることは珍しくなく、中には90度ものズレが確認されたヘリポートもありました。

 

この現象の原因については、当初、病院内のMRIのような医療機器の影響も考えられましたが、その後の調査等から、鉄筋そのものが磁気を帯びたことが原因ではないかと見ています。

具体的には、鉄筋コンクリート床の製造工程でマグネットリフトのような磁石が使われていれば、瞬時に鉄筋が着磁してしまう可能性が指摘されます。

 

未来を見据えた対策の必要性

さらに、将来的な「空飛ぶクルマ」の離着陸を想定した場合、この磁界の課題はより深刻になります。

空飛ぶクルマの多くは自動運転を前提としているため、パイロットによる有視界飛行(VFR)のヘリコプターよりも航法機器への依存度が高いです。

そのため、磁界の乱れが運航に与える影響はヘリコプター以上に甚大になると予想されます。

 


空飛ぶクルマの多くは自動運転を前提としている

解決策は「アルミデッキヘリポート」の設置

ヘリコプターが安全に着陸できる環境を確保するためにはこうした磁界の課題への対策が不可欠です。

その具体的な解決策として、非磁性である「アルミデッキヘリポート」の設置を推奨しています。

これにより、磁界の乱れによる航法機器への影響を根本から排除できます。

 

◾️アルミデッキヘリポート詳細はこちら

 


JA広島総合病院のアルミデッキヘリポート

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