コラム
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「新・ヘリポートの造り方」
2025.11.11
【病院ヘリポートの造り方】第1回:失敗しない導入計画の「正しい順序」
ドクターヘリの導入は、地域の救命率を劇的に向上させるための重要なプロジェクトです。しかし、その計画の進め方には明確な順序があり、これを間違えると、税金の無駄遣いにつながるだけでなく、救えたはずの命を救えないという悲劇を招きかねません。
どのようにドクターヘリの導入をスムーズかつ効率的に進めるための理想的な手順と留意点をご説明します。
ステップ1:最優先事項は「拠点病院の決定」
ドクターヘリ導入において、最も最初に、かつ確実に決定すべきことは、「どの病院を拠点病院(基地病院)とするか」です。
知事の号令などで導入時期が先行しているにもかかわらず、拠点病院が決まらないケースは、その後の計画全体を悲惨な状況に陥れます。
拠点病院が未決定の状態で、運航会社やヘリの機種選定を急ぐのは最悪のケースです。これは、運用実態に合わない機材選定となり、結果としてコストの無駄遣い、ひいては運用効率の低下に直結します。
まず、「我が県では○○病院に拠点病院をお願いする」という決定を最優先してください。
ステップ2:病院決定後に「機種と運航会社」を選定する
拠点病院が決まったら、次に進めるべきは機種と運航会社の選定です。
これが決まることで、具体的なシミュレーションが可能になります。
例えば、
◾️騒音予測: 機種が特定できれば、そのヘリの騒音予測を正確に行い、地域住民への配慮を含めた対策を検討できます。
◾️飛行ルート協議: 運航会社を交えて飛行ルートの協議を行うことで、最も安全で効率的な運航計画を策定できます。
病院、機種、運航会社という三者が決まった後に格納庫や着陸帯の設計・建設に着手することで、無駄のない機能的な施設整備が可能になります。
次章は、「ドクターヘリ拠点病院に必須な6つの施設」について解説します。



