エアロファシリティー株式会社

コラム

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業界動向

2025.10.27

病院ヘリポートのあるべき姿


病院ヘリポートの本質的な使命は、重篤患者の生存率を高めるために救命までの時間を最短化することにあります。迅速な初期治療が予後を左右する現代医療において、ヘリポートとER/ICUを最短・段差ゼロで接続する垂直動線の確保は、もはや設計思想の根幹といえるでしょう。加えて、屋上嵩上げ式構造による障害物回避、騒音緩和、風対策といった環境面への配慮も不可欠です。特に都市部や住宅地に近接する医療施設では、地域との共生を見据えた設計が求められます。

 


垂直移動は患者にもスタッフにも負担が軽い

 

構造面では、繰り返し衝撃荷重に強く、非磁性材を用いて磁界の乱れを防止し、RC構造にありがちなクラックの発生リスクを低減できる構造が理想的です。これは、航空計器への影響を避け、確実な運航と安全性を担保するためにも不可欠です。

 

災害医療の拠点機能を担う病院では、大型ヘリ対応の床耐力が求められます。将来的なeVTOL(空飛ぶクルマ)対応を視野に入れ、給電設備、電池火災対策、離着陸帯の拡張性なども初期設計段階から織り込むべきでしょう。

 

ヘリポートは単に“ある”だけではなく、“確実に使える”こと。それが、病院ヘリポートに求められる真の姿です。平時も有事も、常に命をつなぐインフラとして、確実に機能する設計と運用体制が今後ますます求められるでしょう。

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