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基礎知識

2025.07.30

空飛ぶクルマの離着陸拠点「Vポート」転用のためにすべきこと


既存のH・RマークをVポートに転用できる?

次世代モビリティとして注目される「空飛ぶクルマ」。その実用化のためには、離着陸拠点「Vポート」の整備が不可欠です。既存のビル屋上に多く見られる、ヘリコプターの緊急離着陸場(Hマーク)や緊急救助用スペース(Rマーク)をVポートにそのまま転用すれば良いのでは?と考える方も多いでしょう。しかし、現在のHマークやRマークを、Vポートとしてそのまま転用することは以下の理由から難しいと考えられます。

既存施設転用が抱える3つの課題

まずHマーク・RマークはVポートとしての要求性能を満たしていません。主な課題は以下の3点です。

 

  1. 「繰り返しの衝撃」に耐えられない床面強度
    H・Rマークは日常利用を想定しておらず、空飛ぶクルマの着陸時の繰り返し荷重に耐える設計ではありません。
    特にRマークは、人が歩行できる程度の強度しかありません。
  2. 「磁界の乱れ」が運航を妨げる
    鉄筋コンクリート床面上の磁界の乱れが、空飛ぶクルマの磁気センサーに影響し、正常な運航を妨げます。
  3. 「人」と「機体」のための設備・動線不足
    乗客をスムーズに誘導するための通路やエレベーター、機体の充電設備が不足しています。

ビル設計段階からのアプローチでスムーズなVポート転用を

上記の課題を克服し、H・RマークをVポートに転用できるようにするためには、ビルの基本設計段階から将来的な空飛ぶクルマの利用を考慮し、H・Rマークを造る必要があります。竣工後にVポートを後付けすることは法的・技術的にも困難となります。

 

H・RマークをVポート転用可能にするための具体的な6つのポイントは以下の通りです。

 

  1. 適切な寸法
    Vポート転用を視野に入れ、23mの寸法でH・Rマークを設計します。
  2. 飛行ルートの確保
    飛行ルートを考慮した屋上設備の配置計画を立てます。
  3. 耐衝撃性の確保
    空飛ぶクルマの離着陸による衝撃荷重に耐えうる、強固な柱、梁、床版で構築します。
  4. 充電設備の設置
    空飛ぶクルマの充電設備のため、十分な電力設備とスペースを確保します。
  5. スムーズな動線
    エレベーターの設置など、乗客の移動を円滑にするための動線を確保します。
  6. 非磁性素材の採用
    床面には、磁界を発生させないアルミや非磁性コンクリートなどの素材を使用します。

 

空飛ぶクルマの社会実装には、Vポートの適切な整備が不可欠です。未来の空を拓くため、ぜひ今から、具体的な準備を進めていきましょう。

 

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