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コラム

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基礎知識

2023.12.22

絶対に造ってはならない 「防水を施さないコンクリートの着陸帯」


「ヘリポート」であろうと、「緊急離着陸場」であろうと、絶対に造ってはならない構造があります。それは「防水を施さないコンクリートの着陸帯」です。「コンクリートは雨水に弱い」、そして「コンクリートは繰り返し衝撃荷重が苦手」なのです。そのことを知らないと防水をしない着陸帯ができてしまいます。

屋上ヘリポートの構造は、本来は道路橋と同じにするべきです。梁材の上に造った床に繰り返しの衝撃荷重がかかるのですから、「屋上ヘリポート=道路橋」なのです。あえて道路橋と書いたのは道路橋と鉄道橋では構造が異なるからで、詳細の説明は割愛しますが、インターネットで「コンクリート床版 防水」と検索すると多くの解説ページが出てきますので、詳しく知りたい方は参照して下さい。

我が国の多くの道路橋はコンクリート床版で車の荷重を受ける設計になっています。コンクリート床版は雨水が浸透すると劣化が進み危険です。

ですからコンクリート床版の上には床版を雨水から守るために入念な防水を施し、防水層を設け、さらにそれを守るために、防水層の上にアスファルト舗装を2層以上かけるのです。しかも念には念を入れて勾配をつけるなど、アスファルトの上にも決して雨水が溜まることがないように設計するのです。これは溜まった雨水がアスファルトに浸透し、防水層の上に流れていくことを防ぐためです。これほど防水層の保護は重要なのです。さらに10 年に1度程度、アスファルトを剥ぎ防水層をチェックし、もう一度アスファルトを打ち換えるのです。くどいようですが、それほど防水は重要なのです。コンクリートは雨水に弱いことを忘れてはいけません。

ところが「土木屋」(「運輸省」)がチェックしない「着陸帯」の中には防水を施さず、コンクリート床版を置いただけのモノがあるのです。「自殺行為だ」と言うと言い過ぎかもしれませんが、あまりにも無知で、危険な着陸帯と言わないわけにはいきません。

なぜ、そんな危険な着陸帯にヘリコプターが降りているのかということは追って説明していきます。

皆さんは「コンクリートヘリポートにおいては防水が極めて大切」と言うことだけは覚えておいてください。

 

「新・ヘリポートの造り方」

注:ヘリポートに関わる行政の動きをわかりやすく説明することと、縦割り行政に対する問題意識から、敢えて「運輸省」、「建設省」と旧名称を使用しています。
現在の部署に言い換えた場合、「運輸省」は「国土交通省航空局」、「建設省」は「国土交通省住宅局」となります。

緊急離着陸場とヘリポートは構造が違います。

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