エアロファシリティー株式会社

コラム

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基礎知識

2025.11.04

増え続ける磁界の乱れとそのリスク


屋上ヘリポートの整備が進む一方で、「磁界の乱れ」による航空機システムへの干渉という重大な課題が顕在化しています。多くの施設がRC構造で建設されており、その中には磁気を帯びた鉄筋などが磁界を大きく乱している事例が確認されています。この乱れが、ヘリコプターやドローン、そして将来の空飛ぶクルマに搭載される磁気コンパスや磁気センサー等の計器類に影響を及ぼし、重大な誤作動を引き起こす危険性をはらんでいます。ヘリコプターの運航各社に聞いたところ、複数の操縦士が「そうですよ。〇〇の屋上ヘリポートは酷いです。だから我々は上空でマグネットメーターのスイッチをオフにしてから着陸します。今はVFR(有視界飛行)だから問題ないけど、確かに自律飛行のドローンや空飛ぶクルマは無理ですよね」と警鐘を鳴らしています。実際、鉄筋コンクリートの構造物上では、数キログラムのドローンですら離陸できない事例も発生しています。

 

磁界の異常で、ヘリコプターが中央に着陸できない屋上ヘリポート(Google Earthより)

 

非磁性構造による解決策

こうした問題への解決策として、エアロファシリティーでは「非磁性構造部材」の活用を提案しています。非磁性床版やアルミデッキ、磁化の影響を受けにくい施工技術を取り入れることで、離着陸場での磁界リスクを大幅に軽減できます。また、構造体そのものを非磁性化することで、将来的にeVTOLや大型ドローンが自律的に離着陸できるインフラへの転用も容易になります。病院ヘリポート新設時に、この視点を取り入れることが、今後の都市防災と次世代モビリティの融合を支える鍵となるのです。

 

今こそ“空の設計”を見直すとき

災害はいつどこで起こるかわかりません。私たちはその時に“使える”空のインフラを整備しておかなければなりません。単に「ヘリポートがある」だけでは不十分で、機体が安全に離着陸し、速やかに搬送・支援が行える構造と設備、導線が求められています。これを設計の段階から整えていくことで、都市は“空からの支援”にも強くなるのです。

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