今、設計しているヘリポートの利用目的はなんですか?

2つのヘリポート「緊急離発着場」と「病院ヘリポート」の違いがよく分かる動画です。

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ヘリポートは、利用目的によって構造も必要な附帯設備も異なります。目的に合わせた設計を行わないと使えない、残念なヘリポートが出来てしまいます。
「病院ヘリポート」は、救命救急患者搬送のためのドクターヘリ等が繰り返しの離着陸を行うため、一時的ではなく恒久的に使用が可能な非公共用ヘリポートが望ましいです。しかしながら、年間の離発着回数が少ないヘリポートであれば、臨時的なヘリポート、つまり飛行場外離着陸場というヘリポートもあります。一方、「緊急離発着場」は、高層ビルが火災時に屋上からの消火活動を行うためのヘリポートであり、繰り返しの離着陸を考慮していません。まずは、ヘリポートの利用目的を十分に理解し、ヘリポートの設計を行うことが必要です。

構造の違い

屋上のヘリコプター離発着場のアルミ合金製ヘリポートとコンクリートデッキ製ヘリポートについて、構造の違いについて話をします。ヘリコプターの離発着の多いコンクリートデッキ製の「病院ヘリポート」では、ヘリコプターの繰り返し荷重により年数を重ねると保護モルタルが割れ、防水層が傷ついてしまいます。さらに日々のヘリポートの点検時において、ヘリポート上のコンクリートの剥離やクラックなどに気がつかず、ほうっておくと大きな事故が発生する危険性があります。
コンクリート内部に水が浸透した場合、何が起こりえますか?鉄筋爆裂の恐ろしさを十分に理解していますか?コンクリートヘリポートの大規模な修繕費はいくらかかるか知っていますか?
コストを抑えたつもりでヘリポートを作ってしまうと、安全が担保されず、重大な事故を引き起こしかねません。こうした問題を解決するには、アルミ合金製のヘリポートが一番です。(アルミ合金製ヘリポートについては、別の動画に詳しく掲載しておりますので、そちらのほうもご覧下さい。)設計士に任せるだけでなく、病院の担当者もヘリポートに関する正しい知識を持つことが大切です。

融雪ヘリポートデッキ

ヘリポートのヘリサインの違い

構造だけでなく、ヘリポートの「ヘリサイン」もこの2つのヘリポートには大きな違いがあります。「病院ヘリポート」マークは、ICAO(イカオ=International Civil Aviation Organization=国際民間航空機関)において明記されています。世界共通の「病院ヘリポート」マーク、「白十字に赤H」がそのマークなのです。これは、一般的なヘリポートと「病院ヘリポート」を区別するために必要だからです。しかし、地方自治体消防が監督する屋上の「緊急離発着場」には、「病院のヘリポート」であっても黄色の〇印の中に黄色Hを書くことが義務付けられています。そのため上空から見ると病院も県庁もオフィスビルも同じ緑色の床に黄色いHマークが描かれており、「病院ヘリポート」なのか「緊急離発着場」なのか見分けがつきません。すべて同じヘリポートマークでは、上空から病院を探すのも大変です。「病院ヘリポート」は「緊急離発着場」とマークを分け、上空からはっきりと「病院ヘリポート」とわかるようにし救命救急患者の迅速な搬送が可能となるようにする必要があります。

利用目的の違い

先に話しましたが、そもそも「病院ヘリポート」と「緊急離発着場」は利用目的が異なります。「緊急離発着場」には、消防活動、人命救助等の消防活動を容易にできるようにするための退避場所が必要となります。一方、「病院ヘリポート」は、救命救急患者の受け入れや送り出しのための搬送経路が必要になります。ストレッチャーを利用するため、ヘリコプターの駐機場から処置室までをいかに迅速に搬送できるかが求められ、スロープや専用エレベーターの確保が重要になります。同じ緊急性でも利用目的が異なるとヘリポートの規格や附帯施設も違ってくるのです。

申請・許可する所轄官庁の違い

「病院ヘリポート」は一刻を争うため、ドクターヘリ運航者と病院内スタッフとの連携が必要になります。そのため平時におけるヘリコプターによる搬送の飛行訓練やヘリコプターから処置室まで、または処置室からヘリコプターへの地上搬送訓練を定期的に行い、操縦技量の向上といつ如何なるときでも緊急時の対応ができる準備をしなければなりません。年に百回の以上の離発着するような「病院ヘリポート」は、非公共用ヘリポートとして、また年に数十回以上の離発着するような「病院へリポート」であれば臨時的な意味合いの場外離発着場として認可を受けるのが理想です。これらのヘリポートを建設する上で必要な離発着場所の設置基準として認可を取得するには、国土交通省への申請・許可が必要となります。
一方、「緊急離発着場」は、救助のための特例として、災害活動に際し建築物の屋上で緊急用ヘリコプターが離発着する場所です。消防活動の容易性を確保することを目的としたヘリポートですので、「緊急離発着場」を建設する上で必要な離発着場所の設置基準として認可を取得するには、各自治体の消防機関への申請・許可が必要となります。また、「緊急離発着場」として認可を取得していても平時での離発着訓練を行う場合には、国土交通省への場外離着陸場としての申請・許可が必要となります。